未来のお話し
未来のお話です。
チェーン店のおかげで、誰でもがコックさんになれ、どこでも同じように質の高い美味しいものを食べることができようになりました。なので、日本中のどこでも、どこかのチェーン店に属さないお店は一つもありませんでした。
チェーン店は、味も、質も、価格に比べてぜんぜんいいものです!! みんな安くて美味しいものを食べられていましたから、満足な、とてもよい社会に生きていました。
そんなある日、ちょっとした災害で、工場もとまり、流通もなくなりました。田舎の、とある町では、2日間、朝も、昼も、夜も、何も食べられませんでした。
『お母さん、お腹すいたよ~』と、子供の声。
『なにかありませんか?』と、いつものお店でお母さんは店員さんに聞きます。
『はぁ、なにせトラックが来ないんですよ。。』と、店員さん。
後ろからは、『俺たちなんでも作れるんですけど、材料がないことにはね…。』とコックさん。料理の入ったパックがないと、料理できませんものね。。
そのお店の裏側には、畑が広がっています。キャベツやピーマンがいっぱいありました。キノコを育てるハウスもあります。そして、鳥小屋には鶏も。
『あ~ わしらも困るわぃ。トラックが来てくれないと、野菜を運べないし、いつものお店に食べに行くこともできないわぃ。。』と、農家のお爺さん。
この農家のお爺さんの作った野菜はトラックに運ばれ、違う町の工場に。そして、そこで加工され、料理パックになって全国のお店に送られます。
コックさんは、このパックを待っています。このパックがなければ、料理なんてできようはずもありません。学校を出て10年間コックさんをやってきたお店のシェフも心待ちにしています。
はやく工場が回復し、トラックが来てくれることを祈りましょう。